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『モッツァレラチーズはどこへ消えた?』

未来屋小説大賞第1位の【冬雷】を読んで心が震えた話

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たまたま本屋の前を通りかかった時、大々的に宣伝されていたのがこの本【冬雷】だった。

 

その棚は一面【冬雷】で埋め尽くされ、小さなテレビからは短い宣伝映像が繰り返し流されていた。

 

普段はそんなに本を読まない私でも、手に取らずにはいられなかった。

 

その理由が、今なら分かる気がする…。

 

ネタバレではなく、あくまでも私の感想を書いていけたらと思っている。

 

それは、このブログをご覧いただいた方々が、

無意識のうちに【冬雷】を手に取り、レジに並んでいて欲しいからである。

 

そもそもネタバレを書いていけるほどの文才が、

私にはない。

 

読書家ではない私が書評を書くなんて、おこがましいにもほどがある。

 

だけど、書かずにはいられない。

 

それが【冬雷】の持つ力ということなのだろうか。

 

 

主人公は、産まれてすぐに捨てられた青年である。

 

養子に取られたのは、小さな港町の名家だった。

 

小さい集落の中の、あまりにも小さい人間関係の中で、青年は懸命に生きていく。

 

その小さい世界の中では、想像もできないぐらいの人間ドラマがあった。

 

名家の養子というだけで、腫れ物に触るかのように扱われた。

 

名家の養子というだけで、その世界から完全に孤立していた。

 

その青年にとって、“知らないほうがよかったこと”があまりにも多すぎた。

 

誰も何も信じられなくなった時、何故か味方をしてくれたのは

犬猿の仲だったはずの同級生の男だった。

 

知ってしまったこと”を頼りに、その男と謎を解いていく。

 

決して戻ってはいけない、過去の世界に足を踏み入れていく。

 

どんどん深くなる沼に、自らはまっていくように。

 

それぞれの立場になって考えようとしてみても、どう考えても、

あまりにも主人公の青年が哀れすぎる。

 

最期に幸せを掴むのは、誰だ?

 

知ってはいけない過去。

 

決して結ばれない恋。

 

“名家の養子”という、強いようで弱すぎるその立場。

 

小さい集落ならではの風習、風土。

 

結束と孤独。

 

人の死との対峙。

 

胸が痛むが涙は枯れる。

 

読み終わった時に残るのは、少しの安堵と少しの不安。

 

ぜひ一度、手にとってみてほしい。

 

そしてよければ、感想を聞かせて欲しい。

 

読書家というほどではないが、それなりに本は読んできた。

 

それでも【冬雷】は、ずば抜けた何かを感じずにはいられない。

 

今でも眼をつぶると、海の底に沈んでいくような気がしてならない。

 

目をあけた時、あなたは笑ってくれていますか?

 

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